子供の気持ちを忘れた大人達へ子供の気持を知る為の作業

親から貰った最初で最後のクリスマスプレゼント

 

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これはアパートから一軒家に引っ越し子供時代の唯一のクリスマスを経験した、3歳になった私の記憶だ。

これ以前の2歳時もクリスマスを経験しているのかも知れないが、私にその記憶はないので、これが生家で経験した初めて、そして二度と経験できなかったクリスマスになる。 

 

 

最初で最後のクリスマスの飾り付け

その年の12月、私は母と一緒に小さなクリスマスツリーの飾り付けをした。

箱からツリーを出し、その中から一つずつ木に飾りを付けるのは楽しく、子供ながらにクリスマスの雰囲気はとてもワクワクするものだった。

またクリスマス当日は、サンタさんが枕元にプレゼントを届けてくれる事も知っていた。

 

クリスマスイブ(恐らく)の夜、私は自分の靴下を置いたのではプレゼントが入らないのではないかと心配していた。そもそも靴下にプレゼントを入れるだとか、カップルの指輪のプレゼントならまだしも、子供へのプレゼントであるオモチャが入るとは思えない。

参考記事↓

家の中で一番大きな父の靴下であっても不安は拭えなかったが、私は考えた末に父の靴下を枕元に置いた。 

明日の起きた時にはプレゼントがあるんだと思うと嬉しく、ほとんどオモチャを持っていなかった私は、リカちゃん人形やままごとセットが欲しいなと思っていた。

楽しみなあまりいつまでも眠れない。

母が『早く寝た方が明日が早く来るんだよ』と言いそのうちイライラし出したのだが(いつまでもプレゼントを置けない為だろう)、楽しみな事がある日の前日は、子供にとっては明日が永遠に来ないのではないかと思う程長く待ち遠しい。

が、やがて私は眠りについた。

 

親からもらった最初で最後のクリスマスプレゼント

しっかり寝た私は翌朝早くに目を覚ました。

そして真っ先に靴下を確認した。

そしたら、ない 。靴下の中に、プレゼントがなかったのだ。

靴下は明らかに空っぽでペッタンコなのに、靴下を触って覗いて確認したのを覚えている。

泣きそうになったその時、近くにペッタンコの紙袋があるのを見つけた。

一瞬ないと思ったプレゼントがちゃんとあった事に私はホッとした。

 

でもせっかく靴下を用意したのに、なぜサンタさんは靴下に入らない物を置いて行ったのだろう?と不思議だった。

3歳の私のサンタさんのイメージは、大きな白い袋にたくさんプレゼントを詰め込んだサンタさんが各家を周り『この子にはどれをあげようかな?』と袋の中からプレゼントを選んで置いて行ってくれる、というものだった。

絶対サンタさんは靴下を見たはずなのに、靴下に入らない物をくれた事が不思議だったのだ。

府に落ちないながら紙袋の中身を見ると、サンタさんからのプレゼントは赤ずきんちゃんのパズルだった。

本心ではもっとオモチャらしいオモチャが欲しかった私はちょっとガッカリした。

このパズルだが、ちょっと暗い色合いでオオカミと赤ずきんちゃんがシリアスに描かれていて

、少しもかわいくないのだ。

今思うとすごく古くさくて昔の絵だなと感じるが、当時としてはごく普通の、ピースが大きい幼児用パズルだった。

サンタさんがくれたんだ…とプレゼントに納得しようとしたけれど、どうしてもかわいくないし、どうにも不満が我慢できなくなっていった。

 

そして私はその不満を母にぶつけた。

どうしてサンタさんはこんなかわいくないのを置いて行ったの?せっかく靴下を置いていたのにどうしてサンタさんは靴下に入らないプレゼントを置いて行ったのかな?

そんな事を言った。

すると母は怒り『そのプレゼントはサンタさんがくれたのではない。パパとママが用意したものだ。文句を言うなら返せ』という事を言った。

 

それを聞いた私は3歳にしてサンタさんがいない事を知り二度とクリスマスプレゼントの不満を口にしなかった。

 

私は気に入ってもいないパズルを、以後何年も使い続けた。

そして目をつぶってもパズルを完成させられるのではないかという程、繰り返しそのパズルで遊んだ。

 

今、あのパズルで遊んでいた頃の昔の自分を頭に浮かべると、何とも言えない切なさや寂しさを感じる。二度と出来なかったクリスマスツリーの飾り付け、クリスマスパーティーやケーキ、プレゼント。そのどれもが長い間遠い憧れの存在だった。

明らかに適齢年齢を超えている10歳くらいになってまで繰り返しパズルを組み立てたのは、私がパズルを気に入っていると母に感じてもらう事でパズルの不満をぶつけた事を挽回したかったのかも知れないし

二度と貰うことのなかった親からのクリスマスプレゼントにいつまでもしがみ付いていたからかも知れない。

 

おんぼろで色もすすけたパズルはその後母が捨ててしまった。